Facebookが開発している新しい暗号通貨は、早ければ1月にも開始される可能性があるが、限定的な形式での発売となる可能性があると、この件に詳しい情報筋を引用したフィナンシャル・タイムズ紙が報じている。
また、Libraは1日、その名称を「Diem」に変更した。スイス・ジュネーブのリブラ協会は名称をDiem Association(ディエム協会)に変えた。
Facebookの暗号通貨は、1.0では、インターネットサービスのための決済手段を確立するため、主要な不換紙幣(フィアット)のバスケットを基礎としたステーブルコインとして設計された。その後訪れた規制当局からの反発の対応策として、2.0ではドルやユーロ、ポンドなどを裏付けとしたステーブルコインを生成し、そのステーブルコインの合成としてLibraコイン(≋LBR)がある、と定義づけられた(1.0の簡単な説明はこちら。2.0の詳細な説明はこちらを参照いただきたい)。
この文脈の中では、今回の開始報道は、ドルのステーブルコインをまず試し、それから他の通貨のステーブルコイン、最終的にはそれらをデジタル合成したDiemコインを作るということを意味しているだろう。
Facebookはデジタル人民元と競争している。デジタル人民元は欧米日から先進的とされているAlipayのようなデジタル決済システムを退場させる可能性がある。中国が深セン市など多数の都市でデジタル人民元のオフライン決済の実証試験を進めているのに対し、11月初旬、Facebookは暗号通貨研究部門は同社のブロックチェーン決済Fastpayが、AWSを利用した実験で、クレカを凌駕する性能を達成したと主張した。
この論文では、FastpayはDiemブロックチェーンの「サイドチェーン」として紹介されている。このサイドチェーンは少額、大量、頻繁に行われるオフライン決済を捌くことに特化したプロトコルや検証手法を採用し、最終的に得られた決済情報を主たるメインチェーンに反映する仕組みをとることになるという。
ただし、この両者の競争は非常に深い霧に覆われている。例えば、両者の開発競争は、Permissioned Chainと呼ばれるものに集中しているが、これは史上最初のブロックチェーンであるビットコインの仕様を、エンタープライズ向けに利用するために換骨奪胎したものだ。Fastpayの実験からも分かる通り、クラウドにデプロイしてプロトコルを実行させることも可能だ。
Facebookの場合は、世界中にデータセンターがあるため、そこにデプロイすればいい。ただ、デジタル人民元の場合、パブリッククラウドにデプロイするのは、通貨主権を自ら毀損するようなものだ。特許出願の状況や、一部の中央銀行関係者の発言から、デジタル人民元はアリババクラウドなどに頼っていると推測することもできる。
ジャック・マー(馬雲)は先々月の講演における規制当局批判で、習近平の機嫌を損ねたばかりだが、中央銀行はデジタル人民元の運命をどの程度アリババクラウドとテンセントクラウドに委ねるのだろうか。通貨がパブリッククラウドの上に載るかもしれない。少なくともこれは20世紀には考えられなかったことだ。
米国/グローバル
SlalesforceがSlackを買収
Salesforce.comは1日、同社がSlack Technologiesを買収することで最終合意したと発表した。現金と株式による買収で、11月30日時点でのSlackの企業価値を約277億ドルと評価した。詳しい背景は先週のニュースレター。
ニューヨーク州を中心とした米国の複数の州が、独占禁止法違反の可能性があるとしてフェイスブック社を調査しており、来週には訴訟を起こす予定だと、この件に詳しい4人の関係者が語ったという。ビッグテックに対する訴訟は、司法省がグーグルを提訴するのに続き今年二件目。
Googleは10月に開始されたGoogle Newsの新機能News Showcaseで、有料コンテンツへのアクセスを認めることの引き換えに、コンテンツ料をメディアに対し支払うと発表した。同社が発表したニュースメディアへの10億ドルの投資の一環。
Qualcomm Technologiesは、最新チップ「Snapdragon 888」の詳細を発表した。Snapdragon 888では、第3世代5GモデムRFシステムである「Snapdragon X60」を搭載。AIエンジンは第6世代のHexagonとなり、26TOPSの処理速度を実現。
Gartnerによると、2020年第3四半期の世界のエンドユーザー向けスマートフォン販売台数は3億6,600万台で、2019年第3四半期から5.7%減少した。世界全体のエンドユーザー向け携帯電話販売台数は4億100万台で、前年同期比8.7%減となった。
Amazonは、macOSをAWSのクラウドに導入すると発表した。新しいmac miniインスタンスがAmazonのElastic Compute Cloud(EC2)上で利用可能になり、開発者はiPhone、iPad、MacなどのアプリをすべてAWS上で作成できるようになる。
全米労働関係委員会は2日、会社の方針に抗議し、組合を結成しようとしたことを理由に解雇された労働者を不法に監視し、尋問したとして、元従業員らはGoogleを告発する告訴状を提出する予定だと発表した。
Uber Technologiesが航空タクシー事業「Uber Elevate」を航空宇宙企業のJoby Aviationに売却するための協議を進めていると、ニュースサイトAxiosが2日、情報筋を引用して報じた。
2020年のブラックフライデーとサイバーマンデーのデジタルゲーム収益は減少した、とゲーム市場調査会社SuperDataが発表した。次世代コンソールの供給不足とサブスクリプションサービスの人気の高まりにより、ブラックフライデーの重要性が薄れた。
DigiTimesによると、TSMCは、Appleがプロセスを採用する最初の顧客であることから、3nmプロセス技術の強化版を2023年に発売する計画だという。
中国
トランプ、SMICをブラックリストに追加
トランプ政権は中国の軍事企業疑惑のブラックリストに中国の半導体製造会社SMICと国営海洋石油・ガス生産会社CNOOCを追加する構えとロイターが報じた。
バイトダンスがが、検索連動型広告事業を正式に開始した。検索連動型広告はバイドゥの牙城。2020年8月には、元バイドゥの検索事業トップだった呉海鋒氏を招聘し、検索連動型広告のさらなる強化していた。
36Krによると、「中国版Netflix」と呼ばれる動画配信プラットフォーム「愛奇芸(iQiyi)」を巡り、親会社バイドゥ(百度)とアリババの出資交渉がストップしていることが分かった。交渉で先行していたテンセントとアリババはそれぞれ動画配信を展開しているため、独占禁止法に基づく当局の審査が入ることになったという。
アリババ傘下格安EC「淘宝特価版」、年間ユーザーが1億人超え。競合他社の拼多多が急速に開拓している地方・農村市場のユーザーを発掘するためのアプリ。
ジョン・デマーズ米司法省国家安全保障部部長は、同部が産業・技術スパイ容疑で中国の工作員に対して複数の刑事事件を起こしている間、千人近い研究者たちは国外に出て行ったと語った。
インド
フリップカートへの独占禁止法違反調査を最高裁が差し止め
高等裁判所がインド競争委員会(CCI)に対し、ウォルマート子会社のフリップカートが支配的な地位を濫用しているか調査する命令を下したことをめぐり、インド最高裁判所は2日、その命令の停止を命じた。
インドの国営デジタル決済基盤UPIは、11月に3,909億ルピー相当の22億1,000万件の取引を記録。10月と比較すると、取引量が6.7%、金額が1.26%急増した。
中国デジタル決済大手Ant Groupは、アジアの2つの隣国との間で緊張が高まり、競争が激化する中、インドのデジタル決済企業Paytmの30%の株式の売却を検討しているとロイターが報じた。しかし、Ant側はこの報道内容を否定している。
Eye Catch Image: "Facebook CEO Mark Zuckerberg at the EP" by European Parliament is licensed under CC BY-NC-ND 2.0