アリババ、金融規制と独占禁止の両面攻撃
今週は中国の独占禁止で非常に大きな動きがあった。ロイターによると、アリババ・グループの金融会社アント・グループは24日、規制当局から会合開催の通知を受け取ったと明らかにし、規制上の全ての義務に厳格に従うとした。
報道によると、中国人民銀行(中央銀行)と銀行保険当局を含む中国の金融当局は、数日内にアントと規制に関する協議を実施すると発表。一方、市場監督当局は24日、独占的行為の疑いでアリババ・グループへの調査を開始したと明らかにした。
これに先立ち、中国の国家市場監督管理総局(SAMR)は22日、アリババグループなど国内電子商取引(EC)大手6社を呼び出し、消費者の間で広がりつつある「コミュニティグループ購入」と呼ばれる購入方法の監視強化を命じていた。
10月に米司法省がGoogleを反競争行為を行なっているとし提訴すると、その動きは即座に中国に波及し、当局は直前に迫っていたアントグループの上場を停止。WSJによると、アントのIPOが中止になる前に開かれた規制当局との会合で、ジャック・マーは中国政府に対し「Antのビジネスで必要な部分があれば政府に譲渡する」と申し出ていたという。
その後、SAMRはインターネットベースの独占を抑制するための独占禁止ガイドラインの草案を発表。独占禁止は中国政府の明確な方針に据えられたと印象づけた。
突如の態度硬化は、中国のビッグテックに対する圧力が最終的にどのような着地を迎えるかを推測することを非常に難しくしている。
Apple Car、EVと自律走行の両取り狙いか
ロイターがAppleの自律走行車部門に詳しい2人の人物から得た情報によると、Appleの技術はすでに消費者向け自動運転車を生産可能な段階まで達しており、2024年の製造開始を目指している。独自開発による新しい電池で、電池のコストを「劇的に」削減するとともに、走行距離を伸ばすことが可能だ、と情報源は主張している。
Appleは14年に「プロジェクトタイタン」を発足したが、19年には同プロジェクトから190人をレイオフし、苦戦が伝えられていた。「関係筋2人によると、その後は十分な進展が得られ、現在は一般向けの乗用車の開発を目指している」とロイターは報じている。
これに先立ち、台灣電子時報(DigiTimes)の9日の報道によると、AppleとTSMCは、Apple Car用の自動運転チップを協働で開発している。両社は米国でApple Carチップを生産する工場の計画を立てており、現在、自動車用電子機器のサプライチェーンの上流と下流の供給元と交渉中だとDigiTimesは主張している。
これらの報道が全て正しいと仮定すると、AppleはEVの自律走行車を垂直統合で製造しようとしている。iPhoneやMacBookのサプライチェーンの設計、サプライチェーンの構築とは比較にならない規模の取り組みだ。これを一つの会社が行うのはかなり困難を極めるだろう。
欧米/グローバル
7割感染力の強い変異種、リスク再拡大か
従来の新型コロナウイルスより最大7割感染力が強いとされる変異種が見つかった英国で、別の変異種の感染が2例確認された。ハンコック保健相が23日、明らかにした。この変異種は先に確認された変異種よりさらに感染力が強いという。
シンガポール当局は、英国で検出された感染力が強いとされる新型コロナウイルス変異種の最初の感染者を国内で確認したと明らかにした。この感染者は12月6日に英国から渡航。到着後に隔離措置に入ったが、8日にウイルス検査で陽性が確認された。
Zoomは、電子メールとカレンダーアプリへの参入を検討している、とThe Informationが報じた。同社はウェブメールサービスの開発に着手しており、来年には初期バージョンの製品を一部の顧客に提供する可能性があるという。
Bloombergによると、Microsoftは英Armの設計をベースにプロセッサーを開発し、データセンターで利用する計画を進めている。AWSがGravitonでこのような試みで先行している。
デジタル決済のSquareは事業多角化の一環として音楽配信サービスTidalの買収に向け交渉している。事情に詳しい関係者が明らかにした。ジャック・ドーシーはジェイZと話し合いを重ねているという。
ロシアが関与したとみられる米政府機関への大規模なハッカー攻撃を巡り、米テクノロジー企業や会計事務所などにも不正侵入した形跡があることが、WSJの分析で分かった。この他、少なくとも1つの病院、大学も被害を受けた。
SVFがSPACを発表。スポンサーは約20%に相当する株式を少額で取得。IPO規模に応じ、SVF側に私募で830万~940万株のワラントを1株1.50ドルで追加購入することを約束する構造。公開市場の投資家がこのコストを負うことになる。
ソフトバンクGが出資するナイジェリアのフィンテック企業Opayは、新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウン中に自社プラットフォームでの取引が急増したことを受け、来年の早い時期に北アフリカに決済サービス業務を拡大する計画を明らかにした。
中国
Kuaishou、香港で500億ドルのIPOへ
中国メディアの36Krによると、TikTokの競合会社である中国のショートビデオ会社Kuaishou Technologyは、2月5日に香港で500億ドルの目標企業価値で株式公開を計画している。
Ant Groupは最近、デジタル消費者向け融資プラットフォームHuabeiの一部の若者ユーザーの与信限度額を引き下げた。中国がAnt Groupの370億ドルの上場計画を中断した1ヶ月後、Ant Groupは何の通知もなくこの動きを行った。
テンセントが出資するオンライン医療サービス大手「微医(WeDoctor)」が、このほど3億5000万ドル(約360億円)を調達した。同社はデジタル医療サービス事業を切り離して香港に上場させる計画を進めており、同事業の評価額は資金調達前の段階で60億ドル(約6200億円)超になる。
インド
海外投資家の積極策でユニコーンが続出
ニュースアグリゲータDailyhuntは、Google、Microsoft等から約1億ドルの資金調達を行った。同社は評価額10億ドルを突破し、ユニコーンクラブの仲間入りを果たした。Dailyhuntのショートビデオアプリ「Josh」のスケールアップとコンテンツクリエイターのエコシステムの開発に充てられる。
Zomatoはタイガー・グローバル等の国内外の投資家から6億6000万ドルの資金調達ラウンドを終了し、企業価値は39億ドルとなったと共同創業者Deepinder Goyalはツイートで述べた。
Googleは、InMobiのモバイルファーストのコンテンツプラットフォームGlanceに1億4500万ドルのラウンドを主導した。既存の投資家であるMithril Capitalも新たな資金調達に参加した。Entrackrの情報筋によると、同社は10億ドルの評価を受けているという。
日本
BYDの電気トラックが投入
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は23日夜の記者会見で、感染拡大が続く東京都では「午後10時まで」としている酒を提供する飲食店などへの営業時間の短縮要請を拡大する必要があるとの考えを示した。
比亜迪(BYD)の日本法人ビーワイディージャパンは、量産型大型電気バス「K8」を日本市場向けに販売する。希望小売価格は3,850万円(税別)で、既に発売されている小型電気バス「J6」と合わせ、2025年までに2,000台の販売を目指している。
ディズニーは米国時間12月10日に開催された投資家向けイベントで、Disney+の市場拡張戦略を発表した。Disney+は2021年にサービス対象地域を拡大し、韓国、東欧、香港などへの進出を計画している。
Photo: "An Insight, An Idea with Jack Ma" by World Economic Forum is licensed under CC BY-NC-SA 2.0