今週、デジタル経済の気になるニュースを、経済ジャーナリストの吉田拓史がまとめます。
1) ソフトバンクG純損失7500億円。同社はファンド事業で年間1兆8000億円もの巨額損失を計上する見通し。アリババ、スプリント、ARM、ソフトバンクKK等の保有資産の企業価値は大きく下落。ファンド事業では年間1兆8000億円もの巨額損失を計上する見通しです。ただし、今回の損失で大きく響いているのはWeWorkで、シェアリングエコノミーへの賭けがどの程度、コロナの影響を受けているのかを知るには、もう少し時間が必要になる。
重要な問いは「これが短期的なトレンドなのか、それとも、長期的にシェアリングエコノミーが死んでいくのか」です。コロナ渦の影響で、シェアリングエコノミーの大半は厳しい状況に立たされています。各国で行われている都市封鎖と経済活動の停滞の期間がどれくらいになるのでしょうか。
ソフトバンクGの財務状況の見立てとしては、「資産価値と純債務のギャップがあり株価はディスカウント状態」という外向けのストーリーとは別の状況が起きている、と考えられ、それについて有用な洞察を持つための最大の不確実性であり、ブラックボックスであるのが、ビジョンファンドの状況です。
ビジョンファンドの行末は、シェアリングエコノミーとソフトバンクGの未来を握っていると言っても過言ではないでしょう。
2) Oyoの26歳創業者の悲劇。コロナ渦でインドのホテルチェーン新興企業Oyoの業績が悪化し、26歳創業者リテッシュ・アガルワルがみずほ等の日系金融機関から孫正義の保証で借りた20億ドルがリスクにさらされている。アガルワルは散々メディアで祭り上げられたあと、悲劇の主人公になるのだろうか。
3) ソーシャルディスタンスは2022年まで。ハーバード大学の研究者Stephen M. Kisslerらは、「医療崩壊を防ぐにはソーシャル・ディスタンシグ(対人距離の確保)期間が2022年まで断続的に必要になる」と主張する論文を、14日にScience誌に公開しました。
4) Libraは年内稼働を計画。米国政府の「ステーブルコイン」の認可が取れ次第、稼働開始したい模様。16日にホワイトペーパーの第2版を公開しており、野望は全く潰えていない。
5) 中国が 「国家ブロックチェーン委員会」を立ち上げた。Huawei、Tencent、Baidu、Ant Financial、JD.comは、委員会に参加している企業や学者のグループの中に含まれています。
6) Stripeが360億ドルの評価額。6億ドルを調達。Stripeは最近のCovid-19の発生について"数年間のオンラインからオフラインへの移行が数週間に圧縮されている "と述べています。同社には20億ドルの現金があるが、事業拡大のための調達だったようだ。
7) コロナ伝染のデマで5G基地局放火。5G技術の実装がパンデミックを引き起こしているという陰謀論がFacebookで広まり、英国とオランダで騙された人が複数の5G基地局を放火しました。
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