宇宙旅行は当たり前になる

大富豪が支援する宇宙企業の台頭

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要点

宇宙旅行は珍しくなくなる。高価なチケットを買うお金さえあれば、あなたも宇宙飛行士になれるだろう。

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リチャード・ブランソン率いるヴァージン・ギャラクティックは、現地時間22日に2年以上ぶりとなる宇宙飛行を成功させた。乗員を乗せたVSSユニティ宇宙船は、高度4万4,000フィート以上まで上昇した後、無事に地球に帰還した。ニューメキシコ州からの初の宇宙飛行であり、米国で人間を宇宙に打ち上げた3番目の州となった。

ヴァージン・ギャラクティック社にとっては、2019年以降初の宇宙飛行であり、3回目の宇宙飛行である。ユニティの最初の2回の飛行は、2018年末と2019年初めに、カリフォルニア州郊外にある同社のテスト施設で行われた。ヴァージン・ギャラクティックはその後、すべての商業観光飛行を行う予定のニューメキシコ州のスペースポート・アメリカに業務を移した。同社は、12月に新施設での初飛行を試みたが、電磁妨害のためにユニティのエンジンが地球への帰還前に停止したため、飛行を中止した。

土曜日に行われたVSSユニティの飛行では、12月の飛行中止以降に導入されたハードウェアのアップグレードが行われた。その中には、パイロットがタイトなハンドリングのために使用した新しいデジタルコントローラも含まれていた。このコントローラーは、定期的な生産のために改良された次世代宇宙船であるSpaceShip IIIで使用される予定だ。

ヴァージンギャラクティックは2月に、今年は合計4回の宇宙飛行を予定していると発表していた。次のフライトでは、パイロット2名とヴァージンギャラクティックの社員4名が搭乗する予定で、3回目のフライトでは、ヴァージンの創業者であるリチャード・ブランソンが搭乗する予定だ。第4便はイタリア空軍のための商業飛行を目的としており、200万ドルの収益が見込まれている。

しかし、現状、同社の財務は綱渡りの状況だ。SPACという通常は株式市場に上場しない企業のための抜け穴を利用した宇宙ビジネスは、生まれたばかりのスタートアップと似ている。2021年3月31日時点で6億1,700万ドルの現金および現金同等物を保有、2021年Q1で1億3,000万ドルの純損失を計上した。2020年Q1の3億7,700万ドルの純損失から圧縮が見られるものの、現金燃焼の速度は油断ならない。経営陣は、近いうちに何らかの追加の資金調達を実行しないといけないだろう。

同社は今後のフライトのチケットの約600件の予約を受け取っており、それぞれ20万ドルから25万ドルの価格で販売している。これを定期的にさばけるようになれば、「商業化」と呼ぶことができるだろう。

ライバル

しかし、ヴァージンが注意を払わなくてはならないのは、財務に限られない。他の富豪が経営する競合だ。ヴァージンの宇宙飛行の成功に先立つ5月初め、ジェフ・ベゾスが設立したロケット会社「ブルーオリジン」は、7月に初めて乗客を乗せたロケットを宇宙に打ち上げると発表した。

6人の宇宙飛行士を乗せて宇宙の果てまで短時間で移動するこのフライトの1席がオークションに出品され、25日現在、最高値の入札は2億4,000万円に上る。ニューシェパード宇宙船の初飛行は、アポロ11号の月面着陸から52年目にあたる7月20日に予定されている。

ブルーオリジンは、最近ではNASAの宇宙飛行士のための月面着陸機の製造契約をめぐって、SpaceXとの競争に敗れた。議会が2021年度予算でわずかな予算しか計上しなかったせいか、NASAが選んだSpaceXの入札総額は29億ドルに過ぎず、ブルーオリジン率いるチームを含む競合他社の半分以下だった。これについて、ブルーオリジンなどが抗議し、プロセスが停止している。議会での審議では、予算の増額を盛り込んだ法律の修正案が提出されたが、「ベゾス嫌い」で有名な民主党急進派のバーニー・サンダース上院議員(民主党)がこれを問題視している。

2020年11月、SpaceXは2011年にスペースシャトルが最後の飛行を行って以来、宇宙飛行士を国際宇宙ステーションに往復させることに成功した。野口聡一を含んだ4人の宇宙飛行士を載せたクルードラゴンは、NASAの宇宙飛行士を運ぶだけでなく、民間の宇宙飛行士を地球周回軌道や宇宙ステーション、あるいはそれ以上の場所に運ぶことも想定していた。

SpaceXは2月に民間人クルーのみによる宇宙ミッションの計画を発表した。SpaceXのクルードラゴン宇宙船を利用したこのミッションには、ペンシルバニア州に拠点を置く決済処理会社Shift4 Paymentsの創業者兼CEOであるジャレッド・アイザックマンを筆頭に、4人のクルーが参加する。SpaceXによると、このフライトは今年の第4四半期中に打ち上げられる予定だ。

日本の富豪の前澤友作は、2023年頃、SpaceX大型宇宙船スターシップで月を周回する往復宇宙旅行の8席を購入しているが、その前にSpace Adventuresの顧客として2021年12月8日にカザフスタンから打ち上げられるロシアの宇宙船「Soyuz(ソユーズ)」に搭乗する。

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