
今週は、Facebookがクラウドゲームのベータ版をリリースした。わずか5ゲームの配信からのスタートだが、サービスのユーザー数はすでに20万人に達している。プラットフォーム上の月間アクティブユーザー27億人のうち、HTML5ウェブをベースにしたFacebookのインスタントゲームは、現在約3億5000万人にリーチしている。
クラウドゲームの導入は、Facebookが膨大なユーザーを抱える新興国のユーザーのARPU(ユーザー一人あたり収益)を引き上げる有力な手段だ。広告一本足の同社の収益の大半は、デジタル広告単価の高い北米からもたらされている。単価が著しく低く、その改善に長い時間がかかりそうな新興国では異なる戦略が必要だ。
2020年はクラウドゲームが最も注目を集めた年だ。Amazon、Google、Microsoft、Facebookのビッグテック、コンソールビジネスの覇者ソニーのほか、GPUベンダーのNvidiaも食い込んできた。Nvidiaは、自社のデータセンターとコロケーションサービスを組み合わせて、低いレイテンシを謳っている。彼らは高価なGPUを原価で仕入れることができる。
今年、ビデオゲーム人口は20億人に達した。世界で、今増えているゲーマーは、新興国のモバイルでプレイする人たちだ。その人達にとっては、リッチな処理がコンソールではなく、遠隔地のデータセンターで行われることで、ハイエンドゲームへの扉が開かれるというわけだ。
ただ、富裕国の人もまた自宅にいる時間の拡大とともにゲームの利用時間を増やしている。そして彼らは依然として熱心なコンソールの信奉者のようだ。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のジム・ライアン社長兼最高経営責任者(CEO)は今週、11月12日に発売される次世代ゲーム機「プレイステーション5(PS5)」のこれまでの予約状況を踏まえ「著しい」需要だとロイター通信に対し述べている。PS5の予約開始から最初の12時間の米国での受注は、先代のPS4が12週間を要した規模だという。在庫はPS4の立ち上げ時より多く確保しているものの、発売当初に購入できない場合があれば「心より申し訳なく思う」と述べた。
PS4は2013年の年末商戦に合わせて発売し、初年度に760万台、2年目に1,480万台を販売した。ピークは16年度の2,000万台だった。ソニーは、3月末までに、前身のプレイステーション4(PS4)の初年度の販売台数を上回る760万台以上のPS5の販売を目指していると、最高財務責任者(CFO)の十時裕樹は述べた。ソニーは29日、プレイステーションの需要が急増していることを受けて、通期の営業利益見通しを前年比13%増の7,000億円に上方修正している。
クラウドゲームはコンソールビジネスをディスラプトするには未成熟である。もしかしたら、ハイパースケーラーが自身のもつコンピューティング資源やネットワークへの投資を流用して開始できることから、このゲーミングの新たな実験が始まっている可能性がある。あるいは、よりクラウドや通信が進化した未来を想定した試行錯誤をゲーマーの支払うお金で賄いながた実行できることも、ビッグテックが熱心な理由かもしれない。
しかし、技術的な壁は依然として分厚い。オンラインマルチプレイヤーゲームを冗長に処理することに比べると、クラウド処理によって同等の体験品質(低レイテンシ、信頼性、忠実度など)を確保することは非常に困難だ。では、クラウドゲームが直面する技術的な課題を列挙してみよう。
課題1: サーバーコストと非効率性
サーバーサイドのレンダリングは信じられないほど高価だ。GPU自体が非常に高価であり、データセンターでは、熱と電力を要することで知られる。特にグラフィックカードから膨大な量の熱が発生し、それを冷却する必要がある。
ユーザー当たりのコストはどのようなものか。ゲームメディアParsecのBenjy BoxerによるAWS g2.2xlargeインスタンスを使用した試算だと、1時間あたり0.75ドルのコストがかかる。スポット予約への入札により、クラウドゲーミングリグを1時間あたり0.20ドル近くで利用することも可能だ。しかし、これは3、4年前に市場投入された古いビデオカードによるレンダリングである。
ゲーム系新興企業に投資するエピリオン・インダストリーズのマネージングパートナー、マシュー・ボールのブログによると、ほとんどの見積もりでは、ユーザー1時間あたり少なくとも0.35~40ドルの費用がかかるとされる。これは、20時間のゲームのサーバーコストだけで7ドル以上になることを意味する。例えば、Stadiaは月9.99ドルの価格設定だが、ゲーマーが28時間以上プレイすると、サーバーコストだけでGoogleは赤字になる。しかもこれは帯域幅のような他の費用を含んでいない。
また、クラウドゲームストリーミングは、多くのクラウドベースのコンテンツソリューションよりも「スケール効率」を達成する機会が少ない。プレイヤーがデータセンターから離れすぎていると、ネットワーク上のレイテンシが増加する。つまり、クラウドゲームでは、「超大規模」なデータセンターを1つだけ持つことはできない。国内や世界各地に多くのマイクロデータセンターが必要になる。これには莫大な設備投資が必要となり、アップグレードや技術的な修正を実施することが難しくなる。
さらに、クラウドゲームストリーミングサーバーは、「ピーク時の需要を想定した計画」を立てる必要があるため、余剰容量を抱えた続けないといけない。日曜日の夜8時に10万人のプレイヤーがサービスを利用している場合、データセンターは10万人のプレイヤーをサポートする必要がある。しかし、月曜日の午前4時には15,000人のプレイヤーしかいないため、容量の80%が未使用になってしまう。データセンターの経済学は、需要に応じて供給を最適化することを目的としているが、それが叶わない。
ゲームがリッチな計算やレンダリングを要することはこの経済学に明確な制約を与えているためだ。例えば、GoogleはGoogle Docをホストしているコンピュータクラスタを、Stadiaのために使うことはできない。特殊な要件を満たさないといけないことが、需要に応じて計算資源の分配を調整するというデータセンターに共通する戦略を無力化しているのだ。
課題2: リアルタイム配信の制約
位置データの小さなデータパケットの同期から、巨大な動画ファイルの入力へと移行することは、インターネットの遅延に対する感度が指数関数的に高まり、結果として、より多くのラグが発生することを意味する。これらのラグの影響もまた、はるかに大きくなっている。ファーストパーティシューティング(FPS)の中で、動きの速いターゲットに高精度の照準を向けるようなプレイヤーは、フレームドロップとラグのせいで敵に射殺されるはめになる。彼らはラグに対して寛容な自制心など持ち合わせていない。
最近の人気を博するゲームがミリ秒を争う性質を持つことは、ビデオストリーミングで培われた様々なテクニックが使えないことを意味する。例えば、野球のライブストリーミングの場合、実際の試合から数秒のタイムラグを設けることで、様々なポイントで生じるレイテンシを吸着したり、パケットが順番通りに届かないのをクライアント側で整理するための時間を稼いでいたりする。このような技法が多くあるが、それがことごとく使えない。
また、キャッシュの問題は、ゲームストリーミングサービスが、信頼性の高いバッファリングされていないビデオ体験を保証するために、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)を使用することを妨げている。CDNは基本的に、ユーザーとの間のトラフィックのルーティングに使用するブロードバンド・ネットワークを決定することで、トラフィックを「管理」する。これにより配信の信頼性が向上するが、容量に余裕のあるネットワークが最短のネットワークよりも優先され、結果としてすべてのコンテンツがキャッシュされてしまうため、むしろ遅延が増加する可能性がある。
課題3:膨大な帯域幅コストと運用上の負担
前述のマシュー・ボールのブログによると、クラウドゲームストリーミング配信のコストは、サーバー投資やインフラ運用だけではない。驚異的なプレイヤー規模であっても、オンラインマルチプレイヤーの位置データと入力データの配信にかかるトータルコストは比較的安価だ。だが、1秒間に60~120FPSの高解像度ビデオフレームを送信するのは、その何倍ものコストがかかる。
合計すると、帯域幅のコストは計算とレンダリングの最大2倍、つまりプレイ時間1時間あたり0.35ドルというすでに高いコストになると考えられているという。
これは、大手テクノロジー企業がクラウドゲームサービスの唯一の実行可能なサプライヤーであると見られている理由と関係している。Amazon, Microsoft, Googleは、すでにプライベートネットワークにおいて最小帯域幅の価格を支払っている。また、彼らは10~20年かけて、休眠状態にある光ファイバーケーブル(「ダークファイバー」)を購入している。いくつかのケースでは、クラウドのビッグスリーは、サードパーティのネットワークとピアリング(相互にネットワークを接続し、互いにトラフィックを交換し合うこと)契約を結び、各当事者がお互いのファイバーを無料で使用できるようにしている。
さらに、データセンターに接続されているネットワークは、クラウドゲームのストリーミング用に再優先順位をつける必要がある。リアルタイム配信を必要とするアプリケーションは非常に少ないため、特定のルーティングのための金銭的コストは非常に高く、数十社の個別キャリアと特定のルーティングを交渉する必要があると言われる。
「これは、例えば、アルゴリズムを利用した高頻度取引のファンド(文字通り、大西洋に専用の光ファイバーケーブルを敷設するための資金を提供しているファンドもある)にとっては意味のあることかもしれない。しかし、消費者向けの娯楽サービスでは難しい。これが、クラウドゲームのストリーミングでリードするのは、最も資金力のあるダークファイバー技術を持つ企業だけになると予想されるもう一つの理由だ」とボールは述べている。
課題4: フリートゥプレイと競合
次にビジネス上の課題を挙げていこう。まず、「フリートゥプレイ」の台頭だ。フリートゥプレイはクラウドゲームのビジネスモデルであるサブスクリプションに大きな制約を課している。消費者はフリートゥプレイで遊べるのならば、わざわざサブスクリプションサービスに課金する必要はないからだ。
マッキンゼーのコンサルタント、Dan SingerとEnrico D’Angeloの報告書は、クラウドゲームのサブスクリプションは、必ずしも勝利の法的式とはなりえないと指摘している。「サブスクリプションゲーム市場は、世界で185億ドルの市場であり、約900億ドルのフリートゥプレイ市場よりも小さく、成長のスピードもそれほど速くない」とSingerらは主張する。
2000年代のビデオゲームは、主に直線的な形のエンターテインメントだった。その後、このデザインの枠組みは劇的に進化した。直線的な体験は今でも存在するが、今日の最も人気のあるゲームでは、無限に遊べる「ループ」に依存していることが多く、競争的なもの(例えば、上達を目指してプレイしたり、リーダーボードを登ったりする)や戦利品主導型のもの(例えば、レア度や価値が増していくアイテムを集めて、終わりのない難題に立ち向かうなど)がある。これらのループは、オンラインコミュニティ内のプレイヤーの競争社会におけるステータスや、その人のアイデンティティを物語るものになっている。
このようなゲーム体験は、設計上終わりのないものであり、トップゲームに費やされる時間が天文学的な量であることが反映されている。Steamspy.comによると、人気MOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)ゲーム「Dota 2」では1日平均約2時間、オンラインシューター「CS:GO」では1日1時間以上を費やしている。マルチプレイヤー・アクション「Destiny」の発売当初、Activisionはプレイヤーが1日平均3時間を費やしていると発表した。Fortniteのプレイヤーの7割以上が週に6時間以上プレイしており、少なくとも2割のプレイヤーが16時間以上プレイしているとも言われる。
Netflixの平均的なユーザーは1日18分から27分しか視聴していないため、Netflix全体としては、1,500時間のオリジナルコンテンツを制作し、さらに何千ものライセンスを取得するために年間120億ドルを費やしている。それにもかかわらず、Netflixは、これらのゲームのどれよりもエンゲージメントが少ないことになる。
課題5: 売り切りは非常に儲かる
それから、売り切り型のモデルで非常に儲かっているゲームパブリッシャーに、クラウドゲームへの配信のインセンティブを生じさせるのは、恐ろしく高く付きそうな点だ。Singerらは「現在、ゲームパブリッシャーは、60ドルのゲームをデジタルまたは物理的に販売した場合、1本あたり少なくとも42ドルの利益を得ることができる」と算定している。粗利70%で単価が好ましい水準にある商品をわざわざバンドル型のサブスクリプションに含める意欲を持ち合わせているパブリッシャーはいないかもしれない。
それどころか、AAAのライセンスがプラットフォームの経済性を損ねる可能性が高い。年に2本の大ヒット作のライセンスを取得するだけで、プラットフォームのコストはユーザー1人当たり毎月8ドルになりうる。これは、ゲームサービスがOTT(Over-the-Top)ビデオと同じように価格設定されているとすれば、サブスクリプション収入の80~100パーセントに相当することを意味する。2つのタイトルのライセンス取得だけで、事業の収益性を保てるはずはない。消費者はこのサービスに対して「ゲームのNetflix」を求めている。
「過去のゲーム配信サービス(GameTapやOnLiveなど)は、まさにこの問題に直面しており、パブリッシャーが安価にライセンスを取得できる古いゲームや、売れないタイトルがすぐにバーゲンに流れてしまうという結果に終わっていた。その結果、これらのサービスはニッチなサービスのままであった」とSingerらは、指摘している。
さらに大ヒット作ゲームの優位性はパブリッシャーに大きく依存しており、これはビデオエンタテイメントの場合よりも顕著だ。プレミアムゲーム市場は集中しており、トップ10のフランチャイズ(Grand Theft Auto、Call of Duty、Uncharted、Red Dead Redemption、FIFAなど)が市場の収益の約半分を占めており、これらの「AAAタイトル」を提供するパブリッシャーの価値は非常に高い。これはプラットフォームが優越的な立場で交渉できる場合のある他のコンテンツビジネスとは一線を画している。
結論
指摘した課題を1つずつ乗り越えない限り、クラウドゲームサービスの反映は難しそうだ。それはゲームが求める特殊なコンピューティングやネットワークの要件を安価に賄えるようにならないといけないし、ビジネス上の課題を解決しないといけない。短期的に、クラウドゲームがコンソールビジネスを殺すことはなさそうだ。
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