「今週の主要ニュース」はテクノロジー業界の重要なニュースをまとめるニュースレターです。毎週金曜日、デジタル経済アナリストの吉田拓史(@axion_zone)がその週の重要ニュースを選びます。ぜひご登録ください。
米国/グローバル
マイクロソフトは4月12日、同社が音声認識のNuance社を1株当たり56ドルで買収する正式契約を締結したことを発表した。これは、4月9日のNuance社の終値に23%のプレミアムを加えたもので、Nuance社の純負債を含めて197億ドルの企業価値。
NVIDIAは12日から開催されているGTCで、初のデータセンター向けCPU「Grace」を発表した。Graceは、1兆個以上のパラメータを持つ次世代自然言語処理(NLP)モデルのトレーニングなどを目的にした高度に特化したプロセッサ。
米取引所大手のCoinbaseは4月14日、NASDAQ市場に直接上場した。初日、時価総額は一時的に1120億ドル(約12兆円)を超えたが、その後は初値を下回った。
シンガポールの配車アプリGrabがSPACとの合併による上場を予定。バリュエーションは400億ドル近くで、40億ドルの私募増資に応じた投資家はブラックロック、モルスタ、テマセク等。
SECがSPACワラントの分類を貸借対照表の資本から負債に変更することを検討しているとの噂。①活動中の数百のSPACに財務諸表の再提出を強いる②ワラントの市場価値の変動を収益に計上しないといけない、という影響が想定されている。この噂がSPACの新規上場を抑制。
SPACの勝者は投資銀行。「アナリスト予想によると、業界大手5行のJPモルガン、BofA、シティ、 ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーを合わせた株式引き受け手数料収入は176%増の41億7000万ドル(約4560億円)」
インテル傘下で自動運転車用チップを専門とするMobileyeは、ラストワンマイル配送のための車両に特化するUdelvとともに2023年から本格的な完全無人配達サービスを開始すると発表した。28年には3万5,000台を運用する計画。
「クラブハウス」のユーザー130万人分のデータが、ハッカーフォーラムに掲載されたと報じられている。同社は、侵入やハッキングを受けたわけではなく、データは一般に公開されているプロフィール情報であると主張している。
サイバーセキュリティの新興企業であるDarktraceは、40億ドルの評価額を目標にIPOを計画。Darktraceは、英国のセキュリティサービスの元メンバーと数学の教授によって2013年に設立された。
台湾積体電路製造(TSMC)の1-3月決算は、市場予想を上回る増益となった。純利益は19%増の1397億台湾ドル(約5350億円)。アナリストの予想平均は1362億台湾ドルだった。
中国
アリババグループはこのほど、中国国家市場監督管理総局(SAMR)から182億円(28億米ドル)の罰金を受けた。当局は、アリババが企業が他のECプラットフォームと関わることを禁止する「二選一(二者択一)」を強いるだけでなく、ルール、データやアルゴリズムなどの技術的手段を駆使して、アリババの方針に従わない企業を罰し、優越的地位の濫用を行ったとした。
ByteDanceは香港証券取引所へのIPOを選択し、第2四半期に上場目論見書を提出する予定であると財新は報じた。上場を保留していたのは、ByteDanceの株主が米国の規制環境に抵触する可能性があるためだったと関係者は述べているという。
ByteDanceはC4Gamesを買収した。C4Gamesは、研究開発、運営、パブリッシング事業を統合した総合モバイルゲーム企業。センサータワーのデータによると、2020年第1四半期の日本市場では4億8800万ドルの総売上を記録している。
テンセントは、社債発行で最大40億ドルを調達する計画とロイターが報じた。ロイターが入手したタームシートによると、年限は10年、20年、30年、40年。同社にとっては過去1年間で2番目の大型資金調達となる。
フードデリバリー最大手の美団点評は、不正競争防止法違反で、アリババが支援する競合企業であるEle.meに35万2,000元(5万3,852ドル)を支払うよう判決を受けた。
Baidu、ByteDance、JD.comの3社、アリババ事件で規制当局からコンプライアンスを求められた後、反トラスト規則の遵守を当局に対して約束した。
中国の自律走行技術開発企業であるWeRide社は、カリフォルニア州自動車局(DMV)が発行する完全な無人運転車のテストライセンスを取得した。2020年7月に中国初の許可を取得したWeRideに次ぐ。
Didi Autonomous Drivingは、北京インテリジェント・コネクテッド・ビークル政策パイロットゾーンでの自律走行路試験資格を取得したことを発表した。関連するテストは、雨や霧などの特殊な天候下で行うことができる。
調査会社のTrendForce社は、2021年の世界のサーバー出荷台数は5%以上の成長が見込まれ、ODM Directの出荷台数は毎年15%以上の成長が見込まれるとするレポートを発表した。その中でも中国のサーバー使用量は年々増加しており、2021年第1四半期には世界の約27.2%を占めている。
フォード・モーターは、中国初の電気自動車モデル「MACH-E」を上海で発表した。このモデルはBaiduのエコシステムに接続されており、Baiduの地図、エンターテイメントコンテンツ、決済をサポートしている。
インド
米ヘッジファンドのタイガー・グローバルがインドに超強気とTech Chrunchが報じた。今年、インドの新興企業と25件以上の取引を最終的に決定しているか、または、最終的に決定する段階に入っている。これらの投資のうち、約10件はこれまでに公開されている。
ホームサービスを提供するUrban Companyは、既存および新規の投資家から、前回の評価額の2倍以上のプレミアムを付けて新たなラウンドを調達する交渉を進めている。投資後の企業価値は20億ドルに到達する見込み。
フィンテック新興企業のZetaは、ソフトバンクとの2億5,000万ドル規模のシリーズDラウンドの最終決定に向けて交渉しており、ユニコーンの地位に近づいているとTechCrunchは報じた。
ソーシャルコマース新興企業のDealShareはTiger Global社との投資交渉を進めていると報じられた。関係者によると、取引条件はほぼ確定しており最終的にはTigerを中心に7,000万〜1億ドルの資金を調達することになるという。
スーパーアプリのPhonePeは証券業への進出を計画。インド証券取引委員会(SEBI)からの認可は取得済み。PhonePeのライバルであるPaytmは、すでにSEBIから証券業のライセンスを取得している。
東南アジア
インドネシアのネット通販大手、ブカラパックは、マイクロソフト、シンガポールの政府系ファンドのGIC、国内のメディアコングロマリット、エムテックなどからの出資で2億3,400万ドルを調達した。国内上場と米SPAC上場の2つを睨んでいるという。
日本
NTTは宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、高度約500キロメートルの低軌道衛星と地上との間で、大容量データを伝送する新技術を開発すると発表した。世界では衛星からのリモートセンシングで、農業や物流などの効率を高める動きが増えている。
総務省は14日、高速通信規格「5G」向けの追加電波を楽天モバイルに割り当てると発表した。割当枠は1社分で、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクも応募していた。
自民党の二階俊博幹事長は15日、新型コロナウイルス感染がさらに拡大した場合、東京五輪の開催中止も選択肢になるとの考えを示した。TBSのCS番組収録で語った。
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