1週間のテクノロジー業界の動きをおさらいする「ニュースまとめ」。今週は、企業価値124億ドルのデカコーンSnowflakeがIPOを申請したほか、中国ではアントグループが時価総額が2200億ドルに迫る超巨大IPOを香港と上海で申請した。世界的な大不況の中だが、秋に向けてテックIPOは続くことになりそうだ。
クラウド上でのデータ管理およびデータウェアハウスプラットフォームを手がけるSnowflake(スノーフレーク)は月曜日にIPOを申請した。カリフォルニア州サンマテオを拠点とする同社は、2020年上半期の収益を2倍以上の2億4,200万ドルに伸ばし、純損失は1億7,130万ドルで、2019年の1億7,700万ドルから減少したという。
Snowflakeは日本での知名度は低いものの、直近のラウンドでSnowflakeの企業価値は124億ドルに及び、すでに堅調な顧客基盤を築いている。
今回のパンデミックでは、クラウドサービスに対する需要がこれまで以上に高まっていることがわかっており、Snowflakeにとっては明らかにプラスになっている。
Snowflakeは、Amazon RedShift以外でクライアントが問い合わせてくるクラウドデータウェアハウスの第1位とされている。Snowflakeは、AWS、Microsoft Azure、Googleといったクラウドの巨人のインフラに依存しながらも、それらと競合している。多くのクラウドデータウェアハウスとは異なり、SnowflakeはAmazon、Google、Azureなどの複数のクラウド上で実行できるため、ユーザー企業に好みのパブリッククラウドの選択肢を提供している。
もともと、オンプレミス型のデータウェアハウスを利用していた企業が、特定のクラウドベンダーにロックインされないクラウド上で動作するデータウェアハウスを求めているとき、Snowflakeは低コストから始めることができるので非常に導入しやすく、また、後々のデータ規模拡大にも対応できる柔軟なアーキテクチャを持っていることもあり、Snowflakeの採用に前向きになりやすい。
ビッグデータの分析、機械学習などを常時回し続けるような大規模基盤ではなく、10名以下程度の中規模分析チームで導入する場合や、時間帯によって使用する計算リソースの量が大きく異なるような場合には、コスト面のメリットがとても大きく、Redshift、BigQueryとは異なる市場を発見している。
米国
中国系動画アプリ「TikTok」の最高経営責任者ケビン・メイヤーは27日、同社が中国との結びつきをめぐってトランプ政権から強い圧力を受けたことを受けて辞任すると述べた。経営陣からの従業員へのメモの中で、メイヤーは、TikTokの構造に一連の変更があったことが退職を促した、と述べているという。
ニューヨーク・タイムズ紙が取得した、経営陣からの従業員へのメモの中で、メイヤーは、TikTokの構造に一連の変更があったことが退職を促した、と述べているという。中国のインターネット企業ByteDanceが所有する同アプリは、ホワイトハウスから9月中旬までに米国事業を売却するよう命じられている。メイヤー(58歳)は、具体的な退社時期については言及しなかった。
フェイスブックは、自社の主力アプリに新たなショッピング機能を追加する。新機能「フェイスブックショップ」は25日、全米で本格展開を開始。これを使えば、ユーザーはフェイスブック上で複数の事業者の商品カタログを閲覧し、商品を購入することができる。
AppleがEpic Gamesの開発者アカウントを停止することにより、多数のゲーム開発者が利用するUnreal EngineのMacとiOSに対するサポートを停止しようとしていた件で、裁判所はAppleの措置に対し、一時的な差止を命じた(仮差止命令)。仮差止命令は、判決が下るまでの間、維持されるため、当面はゲーム開発者はUnreal Engineの利用を継続できることが保証された。
ゲームエンジン「Unity」のメーカーであるUnity Technologiesは24日(現地時間)、新規株式公開を申請した。2019年には、月間150万人のアクティブユーザー(開発者)がおり、5億4,180万ドルの収益と1億6,320万ドルの損失を報告していた。米フェイスブックは、自社の主力アプリに新たなショッピング機能を追加する
直接上場が脚光。プロジェクトおよびタスク管理ソフトウェア開発企業Asanaは、ニューヨーク証券取引所への直接上場を申請した。シリコンバレーでは伝統的なIPOの代わりとして直接上場への関心が急上昇している。通常の新規株式公開(IPO)とは異なり、資金調達を伴わず新株を引き受ける銀行や証券会社などを利用しないため、引受手数料等のコストを大幅に削減できる。
アリババは先週開催されたHot Chips 2020カンファレンスで、RISC-Vチップ「XT910」についてその概要を明らかにした。ArmのCortex-A73(高性能モバイルデバイス向けに設計されている)との比較、そして同社が将来的に何を計画しているかを外部向けに説明し、XT910はRISC-Vの最先端だと主張した。
フェイスブックは、Appleのモバイルオペレーティングシステムへの今後のアップデートで人々のプライバシーを尊重することを余儀なくされているため、トラッキングの性能が落ち、広告ネットワークのパフォーマンスが落ちることになるとパブリッシャーや広告主に通知した。
国防総省や中央情報局(CIA)と強いつながりを持つデータマイニング企業、パランティアは2003年の創業以来、一度も利益を上げていない。ニューヨーク・タイムズ紙が独自に取得した米国S-1様式登録届出書から判明した。
中国
アリババのフィンテック姉妹会社であるアントグループは、25日に香港と上海で株式を上場するための書類を提出した。アントの2020年6月までの半年間の収益は725億元(約1兆1000万円)で、純利益は212億元。同社によると、昨年は16兆ドル相当の取引がアリペイで行われ、前年比20%増加した。また、このプラットフォームにより、個人への2,900億ドル、中小企業への5,000億ドルの融資が可能になったと指摘している。
美団点評の2020年第2四半期決算の利益は22億元(約330億円)で、利益は前年同期の8億7580万元から152.4%増。フードデリバリー事業の総取引額(GTV)は前年同期比16.9%増の1,088億元(157億ドル)となった。1日平均のフードデリバリー取引件数は前年同期比6.9%増の2,450万件となった。
8月26日、シャオミ(小米科技)が2020年第2四半期(4~6月)決算および上半期(1~6月)決算を発表。2020年上半期の売上高は前年同期比7.9%増の1032億元(約1兆6000億円)で、調整後の純利益は57億元(約880億円)だった。「Mi 10」や「Redmi K30 Pro」など高スペックの端末でハイエンド分野に切り込んだ結果、全世界におけるシャオミのスマートフォン平均販売価格は前年同期比で11.8%、前四半期比で7.5%上昇した。
インド
Appleがオンラインストアを開店準備し、iPhoneの国内組立ラインアップを増やし、インド市場へのギアを上げている。
ブルームバーグのレポートによると、Appleのオンラインストアは9月下旬と10月の大規模なインドの祭典シーズンの直前に開店する見通し。今までのAppleにとっての最大のハードルは、海外の単一ブランド小売を規制するインドの法律だった。
アップルは、廉価帯のiPhone SEの第二世代をインド国内で組み立て始めた。新しいiPhone SEは、バンガロールの工場でAppleのサプライヤーWistronによって組み立てられている。新しいiPhone SEは、インドの消費者にとって魅力的な価格帯にあり、また消費者は小型の機種を好むこともiPhone SEにとって好ましい状況だという。
日本
フィンテック投資に消極的な日本
日本と韓国のフィンテックはこの5年で飛躍的に成長した。2015年~20年6月の日本と韓国に拠点を置くフィンテック企業へのエクイティ投資(株式取得・引き受けを伴う投資)件数は計416件、投資額は計36億ドルに上った。19年の合計投資額は過去最高に達したが、両国の取り組みの違いは明確になりつつある。韓国は日本よりも金融サービスのイノベーションの採用に積極的なようだ。
本田技研工業は8月27日、新型EV(電気自動車)「Honda e」を10月30日に発売すると発表した。価格はベースグレードのHonda eが451万円、上級グレードのHonda e Advanceが495万円。販売計画台数(年間)は1000台とのこと。
ラジオ放送のインターネット配信を手掛けるradiko(ラジコ、東京・中央)は25日、9月1日に民放ラジオ全99局が聴取できるようになると発表した。エフエム徳島の配信を開始することで民放ラジオ全局がそろう。
注目の記事:『冷戦下の代理戦争から東京の生活戦争へ。シャン民族料理店「ノングインレイ」スティップさんの人生』