ニュースまとめ 8月2週

中国政府がAlipayとWeChat Payの特権を奪おうとしている

今週のテクノロジー業界の動きをおさらいする「ニュースまとめ」。お盆休みの方が多いと思いますが、世界は普通に動いています。このまとめで、「失われた一週間」を取り戻しましょう。

メイントピック: デジタル人民元の”意図”

デジタル人民元はアリババとテンセントを標的にしている(リンク)。デジタル人民元は、AlipayとWeChat Payを厳しい統御下に置く公算が高い。枠組みの中では、銀行口座とウォレットが分離されており、レガシーな商業銀行が生き残ることが確定的だ。人民元の設計は中央集権的であり、政府が国民を監視するビッグブラザーとしての力を更に強めるものになるだろう。

中国人民銀行(PBoC)の申請した特許などのAxionによる分析で以下のようなことが判明した。

  • 中央集権性。ビットコインのような非中央集権的な仕組みはなく、中央政府が監視、介入できる種類の暗号通貨。

  • 金融のビッグブラザーを生み出す。欧米で提案された暗号通貨のプライバシー保護の設計に積極的な改造を加え、プライバシーはウォレットを利用するユーザー間がお互いの財布を覗き見れないようにするものの、国家だけはその匿名性を突破できるようにしている。

  • 商業銀行を殺さない。銀行口座をなくす仕様も設計可能だったが、政治的な意図から、口座とウォレットは分離される仕様に落ち着いたようだ。AlipayとWeChat Payは商業銀行と同様のCBDCの「二次発行体」の地位になる。

  • AlipayとWeChat Payの特権性の崩壊。裏返すと、両者が築き上げた優位性が、政府の意向により、覆される可能性がある、ということだ。

Axionでは、デジタル人民元について金融とテクニカルの両面から詳細な分析を実行した。記事はこちらから。


米国

UberとLyftは米国の最大市場を失う可能性が濃厚になってきた。カルフォルニア州で、ギグワーカーの従業員化の法制化が完了すれば、他の地方自治体も続く可能性がある。

Lyftは12日、運転手を従業員として分類することを余儀なくされた場合、カリフォルニア州での事業を停止すると同社の幹部は投資家とのアーニングコールで述べた。Lyftは、先に同様の考えを示したUberと並んで、運転手の雇用形態の問題で、最も重要な市場の一つから撤退するとして、カルフォルニア州を脅している。

Photo: "File:CEO of Uber Technologies Dara Khosrowshahi in New York - 2019.jpg" by The Presidential Office of Ukraine. is licensed under CC BY 4.0
  1. ソニーはアニメ配信サービスCrunchyroll(クランチロール)を米通信大手AT&Tから買収しようとしており、AT&T側が15億ドルの売却価格を提案している。

  2. Facebookは、決済やコマースの機会を追求するための新しいグループ「Facebook Financial」を発表し、Libra暗号通貨プロジェクトの共同開発者であるデビッド・マーカスをイニシアチブの責任者に据えた。

  3. 最近、新型コロナ流行の影響で従業員の4分の1を削減したAirbnbが、株式公開の申請を間近に控えていると報じられている。 ウォールストリート・ジャーナル紙によると、同社は今月下旬に証券取引委員会にIPOの書類を提出し、年内には上場の可能性があるという。

  4. TikTokのAndroidアプリは、アンドロイドのルールに違反して18ヶ月間、ユーザーのMACアドレスを収集していた、とウォールストリートジャーナルが独自の調査結果を報じた。MACアドレスとは通信ネットワーク上で各通信主体を一意に識別するために物理的に割り当てられた、48ビットの識別番号。

  5. デジタル決済プロバイダーのGoogle PayとPhonePeが、毎月の自動支払いを提供するためにインド決済公社(NPCI)と交渉していると報じられた。この契約により、顧客は公共料金、分割払い、購読、保険料などの毎月の自動支払いをオプトインできるようになる。

  6. スタンフォード大学医学部の研究者が率いる新しい研究によると、電子タバコの喫煙は、10代の若者と若い成人の間でCOVID-19のリスクを大幅に増加させることに関連している。

日本

『ニッポン株式会社の「真の企業価値」とは?マッキンゼーの分析で見えた課題』。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社 パートナー、柳沢和正の論考(リンク)。金融を除く東証一部上場企業2005社のうち、76%にあたる1530社は、エコノミック・プロフィットが過去5年間で上昇したが、「価値破壊企業」が長期にわたって価値を毀損し続けている状況は固定化。「ROICがWACCを下回っている企業に投下資産の約45%にあたる279兆円が投下されており、マクロ的なニッポン株式会社の資源分配の観点からも、課題がある」という。なぜ日本が長期停滞に苦しんでいるのか、明確な洞察が得られる論考だ。

Photo by Louie Martinez on Unsplash
  1. 東急などによって進められた渋谷の再開発が曲がり角を迎えているかもしれない。新型コロナウイルスの流行でテレワークが普及。スタートアップを中心にオフィス離れが広がり、東急は渋谷に依存する成長戦略は見直しを迫られている(日経

  2. インターネット衣料品通販大手ZOZOの創業者で前社長の前沢友作氏が、大手アパレルのユナイテッドアローズ(Uアローズ)とアダストリアの大株主になっていたことが13日分かった。Uアローズの株式を約8%、アダストリアの株式を約6%それぞれ取得しており、取得金額は約80億円とみられる(日経

  3. ソフトバンクが11日に発表した4-6月期(第1四半期)の決算資料によると、純利益は前年同期比12%増の1兆2557億円となった。ファンド事業の投資利益は2966億円。株式売却による実現益や投資先の公正価値上昇で前の四半期からは1兆4000億円改善したが、前年同期との比較では28%減った。同社の決算からは、同社事業の全容はわからない。「ブラックボックス」のビジョンファンドとArm売却の状況に注意を注ぐべきだ。

中国

テンセントは12日、2020年第2四半期の決算を発表した。事前の予測を上回る結果で、広告事業のいくつかの弱点を見せながらゲームは全体的な収益を後押しした。収益は1148億8000万元(165億3000万ドル)で、予想の1127億2000万元を超えた。前年同期比29%増で、2018年第2四半期以来の最速の伸び。

Image by Tencent. 
  1. Huaweiは、自社開発のフラッグシップチップセット「Kirin」の供給が9月15日以降に停止されることを確認した、と財新が報じた。この秋、発売開始するHuaweiの新しいハイエンド「Mate40」は、同社の最先端のプロセッサを搭載した最後のスマートフォンになることを意味する。

  1. 中国政府が支援する2つのチッププロジェクトでは、昨年から世界有数のチップメーカーである台湾半導体製造有限公司から100人以上のベテラン技術者や管理職を採用している。

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