Airbnbは16日、IPOに向けた目論見書を米証券取引委員会(SEC)に提出した。
Airbnbにとっては波乱万丈の一年だった。同社はパンデミックの前には310億ドルの評価を受けていたが、一部の投資家は旅行が停止した後に180億ドルの企業価値で同社の株を購入した。また、4月には約1週間間隔で10億ドルの負債調達を2回行って、20億ドルの現金を確保してもいる。
コロナ禍の打撃は特に宿泊数に顕著である。COVID-19の発生後、事前に予約した旅行のキャンセルや変更が急増した。2020年1月にキャンセルされた宿泊数とツアー予約数は、その月に予約された宿泊数とツアー予約数の13%だったが、2020年3月と4月にキャンセルされた宿泊数とツアー予約数は、その月に予約された宿泊数とツアー予約数を上回った。2020年4月が最も苦しく、宿泊数とツアー予約数は前年同期比72%減だった。
ただ、2020年4月から6月にかけては、キャンセルや宿泊数は着実に回復しており、6月は前年同期比21%減と現象が和らぎ、2020年7月から9月までは前年同期比で約20%の減少にとどまっている。
同社のホームレンタル(いわゆる民泊)という業態は、ホテル予約よりは恵まれた立場にいた。同社は、自宅から車で行ける距離を目的地とする、旅行者に対してホームレンタルを提供することで、ホテルよりも早く混乱から回復できた。
それでも、業績への打撃は大きく、2020年1〜9月では、収益は25億ドルで前年同期の37億ドルから減少。同期間の純損失は前年同期比の2倍以上の6億9700万ドルとなっている。Airbnbは今春、全世界の従業員の25%を解雇し、役員給与を削減し、営業・マーケティング予算を削減している。
今回のIPOではバリエーションを300億ドルとパンデミック前まで巻き戻した形だ。同社は新株の売出しによって30億ドルを調達する。シリコンバレーの新興企業が好む直接上場を選択すると噂されていたが、不確実性が高い状況のせいか、通常の主幹事証券会社を伴うIPOに落ち着いたのだ。
3つ難点がある。1つはコロナ禍以前からAirbnbの収益成長の鈍化の兆しが見られていることだ。この旅行予約事業が成熟しつつあるとみた場合、業績を最大手のBooking.comと比較すると、Booking.comのほうが格段に財務状況がいい。
2つ目はいつコロナ禍が解消するかだ。現状、ファイザーとモデルナのワクチンの配布が今冬には開始される見込みだが、ワクチンが全米、全世界に行き渡るには、まだ多く時間を要するだろう。旅行需要の復活まではタイムラグが生じるはずだ。しかも、足元では米国、欧州の一部、日本などで急速な感染拡大が起きていることがリスクになりうるだろう。
3つ目は、ホストの事業継続性だ。Airbnb同様、ホストもまた大きなダメージを負っている。ホストの多くは、住宅ローンで不動産を購入し、宿泊料によってローンを返済しているが、彼らはコロナによってこのサイクルの崩壊に直面している。旅行需要の復活まで時間がかかればかかるほど、ホストが減っていくことにつながる。なかには、Airbnbを相手取って集団訴訟に及ぶホストもいるほどだ。
米国/欧州
ファイザー、モデルナのワクチン治験が最終段階
アザー米厚生長官は18日、製薬大手ファイザーとバイオ医薬大手モデルナの新型コロナウイルスワクチンが認可され、数週間以内に配布される準備が整っていると述べた。早ければ年内にワクチン接種が開始される可能性がある。
米製薬会社ファイザーはドイツのビオンテックと共同開発する新型コロナウイルスワクチン候補の臨床試験データ最終分析で、95%の確率で有効性が示されたと発表。約4万4000人が参加した試験で年齢層や人種を問わず有効で、これまでのところ重大な安全性の問題も生じていないという。20日に緊急使用許可(EUA)を申請すると、CNNは報じた。
米クアルコムは13日、米政府から中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)への現行通信規格「4G」携帯電話向け半導体製品の販売許可を得たと発表した。中国との対立が緊張感を増す中、米国は貿易規制を講じており、例外的な販売許可となる。
ドイツ政府は大打撃を被っている国内自動車業界に50億ユーロ(約6200億円)の支援策を打ち出した。EV購入の現金補助支給も2025年まで延長。充電インフラを拡充し、充電スタンドでの支払いも容易にする。
AppsFlyer調査、マーケティング担当者の74%がIDFA変更で損失を予想。彼らは、消費者に追跡を希望するかどうかを尋ねる新しいオプトインルールの下で、50%の消費者の識別情報を失うと予想している。
Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOとTwitterのジャック・ドーシーCEOは、17日に上院司法委員会で証言し、コンテンツ管理や政治的発言への関与について4時間余りにわたって質問を受けた。両社をどう規制するかを巡って民主・共和両党の間でなお隔たりがある。
ルネッサンス、Two Sigmaのクオンツの巨人が損失を計上している。コロナ禍以降のダイナミックな市場で、両ヘッジファンドの計量的な戦略がうまくいかなくなっている。
NVIDIAは16日、データセンター向けGPU「NVIDIA A100 80GB」を発表した。同社が5月に発表したAmpereアーキテクチャの「NVIDIA A100」をベースに、メモリ容量を80GBに倍増。DRAMにHBM2eを採用することで、バンド幅は2TB/s以上を実現した。
エヌビディアが18日発表した2020年8~10月期決算は、収益が前年同期比57%増の47億2600万ドル。二本柱であるゲームとデータセンター向けの半導体をともに伸ばし、2四半期連続で過去最高となった。
Apple、年間収益が100万ドルまでの小規模デベロッパーや個人デベロッパーには、コミッションを30%から15%に引き下げると発表した。
モバイル測定会社のAppsFlyerと米モバイルマーケティング協会(MMA)による調査結果によると、マーケティング担当者の74%が、AppleがiOS端末の広告識別子「IDFA」と呼ばれる広告主向け識別子の使用方法を変更することによって、財務上の損失を予想している。
中国
AI四小龍のセンスタイム、IPO申請
画像認識技術で知られ、6年で40億ドル(約4200億円)を調達、企業価値は110億ドル(約1兆1500億円)に達するAIユニコーン企業「センスタイム(商湯科技)」がIPO申請を行ったと報じられた。センスタイムは中国のトップAI企業4社を総称した「AI四小龍」に名を連ねる。
テスラの上海工場「上海ギガファクトリー」では2021年、セダンタイプの「Model 3」30万台、SUVタイプの「Model Y」25万台の計55万台が生産される予定と報じられている。
バイドゥの2020年第3四半期の未監査決算では、収益は282億元(約4400億円)、純利益は137億元(約2100億円)。テンセントとアリババには遠く及ばない者の決算としては悪くない。
NIOは第3四半期の未監査決算で、力強い成長を示した。総売上高45億元(約700億円)を達成し、前期比21.7%増、前年同期比146.4%増となった。
Beikeもまた第3四半期の未監査決算で、力強い成長を示した。既存住宅・新築住宅取引サービスの好調な総取引額(GTV)が業績を牽引し、収益は前年比70.9%増の205億元となった。GTVは1兆5,000億元で前年比87.2%増となった。
東南アジア/台湾
TSMC、Googleから受注か
半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)がGoogleと連携し、2022年にも3次元パッケージング(3D封止)と呼ばれる次世代技術を使った製品の量産を始める、と日経新聞が報じた。
Grab VietnamとLazada Vietnamは、両社の提供するサービスをそれぞれのプラットフォーム上で統合するパートナーシップを共同で発表した。
日本
楽天がリアル小売に本格参入
楽天とKKRは16日、ウォルマートから西友株式を取得すると発表。KKRは65%を、楽天は小売業のデジタル化を目的に設立する新会社を通じ20%を取得し、ウォルマートは15%を継続保有する。
日本など15カ国は15日、オンライン形式で会合を開き、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に署名した。世界の国内総生産(GDP)や貿易額で3割を占める大型の自由貿易協定(FTA)が発足する。当初交渉に加わっていたインドは参加を見送った。
理化学研究所は17日、理研や富士通などが開発中のスーパーコンピューター「富岳」(神戸市)が、スパコンの計算速度を競う「TOP500」など4つの世界ランキングで、6月に続き2期連続の1位を獲得したと発表した。
NTTは17日、通信子会社NTTドコモを完全子会社化するためのTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。16日までに8億1501万株の応募があり、保有比率はドコモの自己株式などを除き91.46%に高まる。買い付け総額は約4兆2500億円にのぼる。
パナソニックは18日、ノルウェーのエネルギー関連企業であるエクイノール、ハイドロの2社と欧州の電池事業拡大に向け、戦略的パートナーシップを結ぶ覚書に署名したと発表した。持続可能でコスト競争力のある事業展開を目指す。
インド
ビデオストリーミングへの規制強化
インド政府はデジタル/オンラインメディアのプラットフォームを情報放送省の管轄下に置く通達を出し、NetflixやHotstarのようなビデオストリーミングへの規制強化の姿勢を示した。
Amazonが競合の小売大手リライアンスによる協業相手の小売大手Future Groupの買収に異を唱えている問題で、AmazonがFuture Group傘下の非上場企業に投資し、数年後にGroupの旗艦企業Future Retail Ltdを買収する契約を結んでいたことが発覚し、外国直接投資(FDI)規制に抵触した可能性があると一部のアナリストや弁護士が主張し、物議を醸している。
RBIによると、デジタル決済基盤UPIは11月の最初の15日間ですでに11億2,500万件または11億2,500万ルピー(2兆6,000億ルピー)相当の取引を処理しており、11月に新記録を樹立する可能性が高い。UPIは11月に約22.5~23億件の取引を記録する可能性が高いとみられている。
PUBG Corporationは「PUBG Mobile India」の立ち上げに向けて準備を進めている。9月の政府の動きにより「PUBG Mobile India」が禁止されたが、韓国企業を経由することで再参入できる見通しという。
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